【完】キミにぞっこん
「どうしたんですか?」



桑名がキョトンとした顔になる。



「いや、なんでもない」



俺は酒をグビッと飲み干す。



「如月さーん」



横にいる葛城は完全に寝言になってる。



「もう寝てるじゃん」


「莉佳あまりお酒強くないんですよ」


「ふーん」



ふっと笑みが零れる。



「いま、莉佳を見て笑ったんですか?」



桑名が俺の肩を掴む。



「や、違っ」


「莉佳のこと好きなんですか!?」



桑名が興奮気味に聞いてくる。



「落ち着けよ」



俺は桑名をきちんと座らせる。



「莉佳のことすきなら…」


「待って。好きじゃない」


「え、でも今…」


「んーと。今のは…」



何て言ったらいいかわかんなくて返答に困る。

笑ったのはたしかだけど。
それは葛城を見てじゃない。
お酒が弱くてすぐに寝ちゃう愛來を思い出したから。


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