【完】キミにぞっこん
時計を見るとすでに日付が変わってる。


もう、寝たよなー。
声聞きたかった。


出張にきてからはじめて。
愛來の声を聞かないで一日がおわってる。
一日聞かないだけでどうにかなりそうとか
まじで愛來がいないと生きていけないよな。俺。



「…ん」



横で桑名が寝返りを打つ。



「大丈夫か?」


「…きさ、らぎ、さん?」



トロンとした目で俺をみる。



「お前酔いつぶれたから。俺と同じとこらしいから」


「ゆめ、みてるのかな?」



桑名がよく分からないことを言って再び瞳を閉じる。



「なんだ?」


「…ゆめ、」



そう言ってまた瞳を開ける。



「桑名?」


「すき…」



桑名がそう口にして俺の手に触れてくる。



…は?



桑名はそのまま寝てしまったようで。
手を振りほどくにもほどけない。


いや、てか嘘だろ?


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