【完】キミにぞっこん
「よかった、って?」



目を大きく見開いているキミの
手を軽く握る。



「あとから話す」



それだけ言って、俺は歩き出す。



「わかりました」


恥ずかしすぎてそれ以上彼女のことを見るなんてできなかった。



あぁそうだ。



「ねぇ、愛來って呼んでもいい?」



ずっと聞きたかったことをやっと聞く。



「え、もちろんですよ!」



俺の質問に笑顔で答えてくれる。


あー。
この笑顔、俺だけのものにしたい。
独り占めしたい。


こんなことほんとに思ったことなかった。



「…好きだ」


気がついたら口にしてた。


黙ってなんていられるはずがなかった。



「如月さん?」


びっくりした顔をして俺の名前を呼ぶ。



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