【完】キミにぞっこん
「嘘。これから星那の部屋にいくつもりだったんでしょ?」


「は?」



…んなわけあるか。


俺は愛來のブランコの前にしゃがむ。



「仲良さそうだった。手だって歩けるなら外せばいいのに」


「たしかにそうだね。タクシーの中で寝ぼけてあいつが握ったんだけど、ほどくのが面倒だったんだ。ごめん」



愛來に頭を下げる。



「あの人は星那のこと好きじゃん」


「そうみたいだね」



誰が誰のこと好きだって正直どうでもいい。
誰が誰のこと好きだって俺は愛來が好きなんだから。



「なんでそんな人を星那の部屋に呼ぶの?」


「いやいや呼んでないから」


「一緒にいたじゃん!」



愛來の瞳から大粒の涙が流れてくる。



「違うよ。あの人はあのマンションの1番上に住んでるからだよ」



愛來のことを抱きしめる。



「浮気、じゃないの?」


「するわけないよ。こんなに愛來が好きなのに」


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