【完】キミにぞっこん
「あのチケットって使った?」


「え?」


「別れる前にあげたチケット」


「あー。使った」



愛來と付き合いだしたときのことを思い出してふと頬が緩む。



「澤上愛來ってこと?」


「は?」



美桜の言葉に顔を上げる。



「来客名簿。今年もイベントで使うから去年の見てたの」



美桜がカバンから冊子を取り出す。



「ほら」



俺に冊子の1ページを見せてくれる。



「…あ」



俺の名前の下に愛來の名前。
愛來のかわいらしい字で書かれてる。



「今年はなにやんの?」


「秘密」



美桜がフッと笑う。



「この日イベントやってるなら行きたいんだ」


「去年と同じ日?」



美桜が首を傾げる。



「うん。この日で愛來と1年なんだ」


「1年!?星那が!?」



美桜が心底驚いた顔になる。


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