【完】キミにぞっこん

「どうしても今日渡したかったから」

「愛來ちゃん、もうすぐ1年だよね」



勤務中、由月さんがニコッと笑って言う。



「はい!来週で1年なんて早いなぁー」


「でもさ、星那にとっては初めてだからね」


「はじめて?」


「1年続いたの」



由月さんがあたしの頭を撫でる。



「そういえば全然続かないって言ってた」


「半年もてばいい方だったからね」



それで自分が初めてだってのがやっぱり嬉しい。



「すいません、これお願いしまーす」



郵便配達の人が郵便物を持ってくる。



「ありがとうございまーす」



配達の人から受け取ってパラパラっと見る。



「あたし、配ってきますね!」


「あ、お願ーい!」



郵便物を抱えて受付を抜ける。



━━ドンッ



「あ、ごめんなさい」



少し小走りで謝って走り去ってく。


あの人はたしか、H社のみんなに美桜って呼ばれてる人だ。
すっごい綺麗だなーって見る度に思う。


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