【完】キミにぞっこん
『如月さん?これから会えないですか?』


「あのね。今日休みだよね?」


『そうですよ?でも会いたいんですよ』


「また来週」



俺は電話を強制的に切る。



「大丈夫?」



愛來の声に不安の声が交じる。



「大丈夫だよ」



愛來の頭を撫でる。



最近俺の部署に
東京出張の時にに言い寄られてた桑名が赴任してきた。


そいつを受付でみたときから毎日不安そうだ。
あの時愛來は見たもんな。
俺と桑名の手が繋がってるのが。



「でもあの子は星那のこと…」


「でも俺が好きなのは愛來だから」



俺は愛來の手をぎゅっと握る。



「ちゃんと気持ちだけ聞いてあげたら?」


「え?」



愛來の言葉にびっくりして彼女を見る。


こんなに他人の気持ちなんて
考えられるやつだったかな。


俺はできれば
誰にも愛來のこと好きなんて言ってほしくない。


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