【完】キミにぞっこん
【Airu Side】



━━ピーンポーン



星那があたしの手を握ったまま反対側の手でチャイムを鳴らす。



『はーい』



中から女性の声がする。



「如月」



星那はぶっきらぼうに返事をする。


中の女性は星那のことが好き。
いつもデート中に電話をかけてくるけど
星那はこうして来たことはなかった。
しかもあたしを連れてなんて。
何しに来たんだろ。

胸に不安が広がる。



━━ガチャッ



音がしてドアが開かれる。



「如月さ…」



嬉しそうな顔をして出てきて星那の隣にいるあたしをみて言葉を止める。



「なんでこの子も…」



ものすごく嫌な顔をされている。

まぁ、あたしがこの子の立場でも嫌だろうな。
なんともいたたまれない気持ちになる。



「納得してもらおうと思って」



王子スマイルで星那が話す。



この笑顔のときって心の中は真っ黒なんだよなー。


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