【完】キミにぞっこん
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「澤上さん、お昼入っていいわよ」



そう言われて、あたしは会社の目の前にある喫茶店にいる。



遅めのランチだったから
お店はガランとしていた。



━━カラーン


来店を告げるベルが鳴って
ドアに目をやる。



「あっ」



あたしの胸の鼓動が病まない。



如月さんが入ってきたから。



「いつもの」



彼は店員にそう告げて
空いていたあたしの隣の席に座る。


周りはまったく見えていない様子で
パソコンをすぐさま開く。


やっぱり
仕事できそうだよね。


あたしはぼーっと彼の作業を眺める。


キーボードにタッチする指が長いなとか
そんなことを考えながら。

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