【完】キミにぞっこん
「ねぇ、愛來っていうんだよね?」



突然如月さんに名前を呼ばれた感じで
ドキッと胸が騒ぐ。



「あ、はい」


「俺、星那」


「はい?」



突然の自己紹介。



「俺の親さ、カーレースが大好きでさ」


「あっ、あたしの親もです」



小さい頃のお母さんの話しを思い出す。

あたしの名前の由来にもなった。


…あ、待って。
その人の名前って



「やっぱりね。俺ら二人合わせて」


「「アイルトン・セナ」」


あたしたちふたりの声がハモる。

やっぱりそうだ。


なにこれ。
この偶然。



「これ、一緒に行かない?」



如月さんがスマホの画面を見せてくる。



「え?」



アイルトン・セナの没後何周年だかの
展示会の知らせだ。


これ、お母さんが行きたがってやつ。
たしか手に入りにくいんじゃなかったかな。

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