【完】キミにぞっこん
「…星那」



運転席に座ってタバコを
吸っている姿が目に入る。


そんな姿さえ愛しいなんて
もう病気だろうか。



あたしが星那の車の窓をコンコンと叩けば
彼は嬉しそうな笑顔を浮かべて
運転席から出てくる。



「お疲れ。星那」


「ありがと」



星那があたしを引き寄せる。



「…星那」


「愛來不足すぎ」



抱きしめる腕の力が増す。



「あたしも、だよ」


「あとでたくさん可愛がる」



あたしの頭を撫でる。



…可愛がるって。

その言葉だけで充分あたしの
心臓は爆発寸前。



「とりあえず乗って」



星那が助手席のドアを開ける。



「ありがとう」



星那が開けてくれた助手席に乗り込む。


彼は、とっても女の子の扱いがうまくて。

だてにあたしより長く生きてきてないよなって
思う。



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