【完】キミにぞっこん
「星那と出会えてよかった」



そうあたしが言えば



「それは俺のセリフ」



運転してるから前を見てるけど
片方の手であたしの手を握る。



「俺、愛來のこと好きになってほんとよかった」



あたしが欲しい言葉をたくさんくれる。
くすぐったくなっちゃう。

この人は
あたしを喜ばせる天才なんだ。


車の中じゃなかったら
あたし星那の胸に飛び込んでるところだよ。



「もう着くよ」



星那の言葉に胸の高鳴りが激しくなる。


初めての星那のお家。

星那は一人暮らしだし
当然のことながらふたりきり。


いままでふたりきりであっても
ご飯食べるぐらいだったから。


本当にはじめてで。



< 48 / 235 >

この作品をシェア

pagetop