【完】キミにぞっこん
「いらっしゃいませー」



1階にあるコンビニは夜なのに少し賑わっていた。


このマンションの人ばかりなのかな。



「あれ、愛來ちゃん?」



ふと自分の名前が聞こえて振り向く。



「由月さんっ!」



同じ受付の由月さんだった。


毎日一緒にいるあたしたちはお互いを
名前で呼ぶようになっていたんだ。



「由月これでいい?」



後ろから聞き覚えのある声がする。


泰志さんだ。



「えっ…」



泰志さんがあたしを見て固まる。



「由月、知り合い?」



気まずそうな顔で由月さんに話しかける。


違う。
泰志さんじゃない。


…智志くんだ。


あたし胸にしゅわっとした何かがよみがえる。


浮気をされていた過去。

辛かった日々を思い出す。



< 53 / 235 >

この作品をシェア

pagetop