【完】キミにぞっこん
「受付で一緒に働いてる澤上愛來ちゃん」



何も知らない由月さんが笑顔であたしを紹介する。



「一緒の会社なんだ」



力の弱い声でそう呟く。



「愛來ちゃんは星那のところにきたの?」



由月さんがニヤっと笑う。



「あ、はい」


「なかなか2人で会えないんだからたくさん甘えちゃいなさいよー」




あたしの腕を小突く。



「もう、由月さんたらっ」



そうだ。
あたしにはいるんだよ。

星那が。
星那という大事な存在がいるんだ。

だから
智志くんのことは忘れたの。



「星那の彼女なの?」



由月さんに首を傾げる。



「そう!ラブラブなの!」



〝あたしたちも負けないけどね〟



付け足して、智志くんの手をとる。



「ふーん」



どこか智志くんは不機嫌で。


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