【完】キミにぞっこん
「ごめーん!ありがとう!」


智志を由月に渡す。



「お前らうまくいってんの?」


「え?急にどうしたの?」



由月がキョトンとする。



「や。なんとなくな」


「いままでそういう話まったくだったのに愛來ちゃんの影響?」


由月がおかしそうに笑う。


「うるせーよ」


「…愛來」


由月の膝にいる智志がぼそっと寝言で呟く。



「嫌だ、なんでこいつ愛來ちゃんの名前なんか」



由月が気まずそうな顔になる。



「なんか知ってる?」



俺は由月の顔をのぞき込む。



「あたしは何も知らない!智志とも上手くいってるよ!」



由月が笑顔になる。



「作り笑顔やめたら」



由月の頭を撫でる。



「たぶんだけど。お前に智志を奪われたのは愛來だと思う」


俺の言葉に由月が俺を見上げる。

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