【完】キミにぞっこん
「ははっそんな急いで食べたら喉に詰まらせるよ」



能天気に隣の席で笑ってるこいつ。

俺はいま、早くここから出ることしか考えられなくて。



雷人とはよく遊んだし、仲良かったはずだ。

でも、雷人は俺が好きなやつをとにかく好きになるんだ。


好みが一緒なのか知らないけど。

高校まで、好きになったやつも
付き合ったやつも
最終的には雷人を好きになるんだよな。



なんでここで会っちゃうかな。
いままでで1番好きな女を前にして。



「牧野さんってモテそうだよね」



愛來が呑気にそんなこと言うもんだから




「あ!?」



つい声が大きくなってしまう。



「星那?」


「あ、いや。ごめん」



こんは余裕ない俺、情けねぇ。


俺にもあったじゃん。
トラウマ。


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