【完】キミにぞっこん
「そうそう、莱久(らいく)が同じ部署になったーって喜んでたぞ」


「まったく話してないけどな」


「ふーん。なんで?」


「必要ない」



俺は食後のコーヒーに手をつける。




「莱久って?」


「雷人の双子の姉で俺の幼なじみ」



間違ってはいない。



「あと、星那の初恋相手」




またこいつが
口角を上げて笑ってる。



「過去だから」




俺は愛來の皿に何も無いことを確認して、席から立ち上がる。




「あ、星那待って!」



俺のあとから席を立ち上がる。




あの空間から一刻も早く出たかった。



莱久のときだって。
俺から莱久を奪ったくせに。


双子なのに。
莱久の双子の弟なのに。


そっからだよな。
俺が遊びだしたのは。


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