【完】キミにぞっこん
「でも嬉しい。そういう星那が見れて」


「俺、愛來のことだけは誰にも譲るつもりないから」


「あたしだって譲られるつもりないから」



愛來の気持ちが嬉しくて。

愛おしくて。


愛來をぎゅっと抱きしめた。



「ねぇ、莱久さんって?」


「あー…」



なんて言ったらいいのか分からなくて
言葉が見つからない。

何をいえば愛來に誤解されないのか。
あのことは過去だって伝えたいのに。

いままでは誤解されたっていいやって
思ってきたから。
誤解されたくないって思ったことがなくて
わからない。


「星那?」


「幼なじみ、だよ」



幼なじみなんだよ。
あいつは。いまはもうそれ以上ないんだ。


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