ロリポップ~甘い甘い恋に堕ちましょう
けっこう混んでましたけど、四人並んで座ることができました。
スクリーン側から見て左からコイケンさん・桃川さん・私・石田さんの順に座っています。
「こわいですよぉ」
「バカ!お前、そうやってあんま言うな。少しはガマンしろ」
「えーじゃあ石田さんはガマンしてるんですか?」
石田さんはしぶ~いカオをして、私を見ると、
「当たり前だろバカ」
と言い放ちました。
「はぁーあ。これだから、ホラーの苦手なヤツと観るのはヤなんだよな」
はっ!
コイケンさん。
冗談っぽく言ってますけど、桃川さんの間から少しだけ見える横顔。
目が笑ってないんですけどぉ!
うう。コイケンさんもこわいよ~。
「じゃ、じゃあ、他の映画を選べばよかったじゃないですかぁ」
「はぁん?」
ぎゃああ!
ギロリと私をにらむコイケンさん。
コイケンさんがこわいですよぉ!
「コイケンさん、真由ちゃんいじめるのは石田さんだけにしてくださいよ」
桃川さんがニコニコしながら、助け舟を出してくれました。
「ハイハイ」
コイケンさんは降参のポーズをしたあと、首を左右に曲げてコキコキ鳴らしてます。
「あ、オレも一緒に見ていいですか?」
「おう」
そう言って、桃川さんはコイケンさんが広げた今から始まる映画のパンフレットを覗き込みました。
そして、お二人は楽しそうにお話しています。
「石田さ~ん」
「なんだよ」
「コイケンさんってあんな人だったんですか?」
「なんだよ、あんな人って!」
コイケンさんがすかさずツッコんできました!
私と石田さんは顔を見合わせて小さくため息をつきました。
なんでしょうか。
今まで私をいじり倒してた相手が味方になってくれてるこのカンジ。
すごーくヘンですね。
でも、ちょっとうれしいです。フフフ。