ロリポップ~甘い甘い恋に堕ちましょう


ブルッ。
おお、さすがにまだまだ初夏ですね。
夜になるとまだ半袖じゃ肌寒いです。

「寒い?」

桃川さんが私を見て言ってくれました。

「あ、大丈夫です」

はぁ、すごいですね。
チャラ男さんはやっぱりよく人のことを観察しています。

こういうところは見習わないといけませんね。
私、気がきかないんですよね。

え、なんですか、
その「あー」みたいなナットクの反応はっ!


「今日は上着貸してあげられないもんなぁ」

あ、今の発言は新歓コンパの時、
上着を貸してくれたことを言ってくれてるんですね、きっと。

「オレもちょっと寒いかも。くっついていい?」

桃川さんが顔をのぞきこんできました。

その顔が子供が母親に物をねだるようで、
はい、いわゆる母性本能をくすぐられるというヤツですね!

というか、
くっついていい?って言われましても!

というか、
ホントにこういうカオは法律で禁止してほしいですねっ。

あ、こんなことをクチに出したらきっと桃川さんのことだから、
「なんて法律~?」とか言ってきそうですね。

はっ!

それ以前に、
「なんで禁止しなきゃいけないの~?」ってニヤニヤしながら訊かれそうですっ!


ぎゃほっ!

なんということでしょうか!
桃川さんが後ろから抱きついてきました!

「な、な、なん、なんなんですかっ!」

「ダメなの?
 拒否しないってことは異議なしだとみなしたんだけど~?」

ひゃあああああ。
後ろから顔をのぞかせてきました!

ちょっと後ろを見たら、アウトな距離に顔があるんですけど!

ぎゃあっ。
しかも、私の左肩に顔を乗せてきました!


「モモ、真由ちゃん固まってるぞ」

コイケンさん!
そんなニヤニヤしないでください……。


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