ロリポップ~甘い甘い恋に堕ちましょう
私たちは一度改札を出て、
すぐ近くの地下鉄都営浅草線に乗り換えました。
ハジメテの浅草線です!
浅草駅まではわずかだそうなので、空席はありましたけど、
座らずにドアの近くに立っています。
「こっちにはだいぶ慣れた?」
桃川さんは吊り革を右手で持って
体をブランコみたいにゆらゆらとさせながら、
私に近づいたり離れたりしています。
「う~ん……。多分?」
首をかしげてこたえました。
「ねぇ真由ちゃん」
「はい」
「今日は浅草だけどさ、これからも色んなところ行きたいね」
桃川さんがニコッて笑いながら言ってくださいました。
「はいっ!私も色んなところ行きたいです!」
桃川さんが今度首をかしげました。
「ねぇオレの言ったイミ、
多分半分も伝わってないような気がするのは気のせい?」
桃川さんが困ったようなカオをしています。
ん?
はてはて。
伝わっていないのでしょうか?
ぎゃぎゃぎゃっ!
桃川さんがつり革で反動をつけて
いきなり耳元に顔を寄せてきました!
「あのね、オレは真由ちゃんとふたりで行きたいってイミだったの。
どこかに行くことが目的っていうよりも
真由ちゃんとふたりでっていうことが目的なの~」
そう言って私から離れると、ニィ~って笑ってます。
な、なるほど!
うおお!
そういうことなのですね!
「真由ちゃんもそう思ってくれてる?」
少しだけ頼りなさげなワンコさんみたいなカオで桃川さんが見てます。
「あ、当たり前なのですっ!」
キリリッとして言うのです!
そんなことをなぜゆえに
桃川さんは訊くのでしょうか!
ワタクシ立花真由の
桃川さんのキモチをみくびってもらっては困るのです!
エッヘン。
「そっか」
桃川さんはホントに嬉しそうに笑ってくださいました。
フフフ。
きゃう!
桃川さんがつないでた手をギューって強く握ってきました。
そして、
「ありがと」
って言ってくれたのです。
「えへへへへ」
私たちはニコニコと笑い合いました。
フヘヘヘヘ。
多分、周りから見たら、バカップル全開なのです。
フフン。
リア充なのです!