ロリポップ~甘い甘い恋に堕ちましょう


園内は小さな子供連れのファミリーが目立ちます。

へへ、
正直いうと、
私たちのような年齢の人たちはほとんど見ないのです。


「なにから遊ぶ~?」

桃川さんは受付でもらったガイドブックを広げて、
物色しています。

「真由ちゃんってなんでも大丈夫~?」

「あ……」

さっきのお話ししたように
アトラクションは基本苦手なのです……。

ジェットコースターもフリーホールも
お化け屋敷もコーヒーカップもビックリ箱も、
すべてNGです。

乗れるのは子供向けのお手柔らかなものばかりです。

はうううう。


「もしかしてほとんどダメ?」

はっ!

桃川さんは少し残念そうにしています!

「もしかして桃川さんは……」

「うん、おばけ屋敷もジェットコースターもフリーホールも、
 基本アトラクションはぜ~んぶ大好きだね」

ニコッと笑ってますが、
心なしか曇っているような気がします……。

あううう。

ホラー映画が得意なので、
お化け屋敷は大丈夫かなとは想像できましたけど。

なるほど……。


「で、でもっ!ちょ、ちょっとなら……」

「いいの~?」

桃川さんは私の顔を覗き込んできます。

「が、がんばりますっ!」

両手ガッツポーズで一生懸命意思表示するのです。

「えらいえらい」

はううう。

桃川さんが私の頭をナデナデしてくれます。

桃川さんの手はホントーに魔法の手なのです。
マジックハンドなのです!

えへへ。


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