【完】プライドなんか知らない
執事と女王様 Side:綾人
今日も朝から、女王様はご機嫌ナナメ。
「………」
「どしたの?」
「告られた。しかも同じヤツに。これで3回目」
女王様は、しつこいのが一番嫌い。
なのに、とっても律儀だから、断るくせにちゃんと指定された場所に行く。
…怒りながら。
「しんじょーさぁ?嫌なら行かなきゃいいのに。なんでそんなに真面目なの?」
「あやちゃんはいいよね。そういう風なのなくて。あたしは、一応ちゃんと顔見て断りたいの!」
と言った会話で、ほぼ毎日がスタートする。
巷のウワサでは、かなり辛辣な言葉で告白を断ってるみたいなんだけど。
この女王様ときたら、オレの前じゃ不機嫌な素振りを見せるだけで、告白についての詳細はけして言わない。
「あやちゃん」
「はいはい。ココアね」
「ん。ありがと」
そしておれは執事よろしく、この女王様の世話に徹底している。
「あー…。男って面倒くさい。なんで一回で諦めないかな」
「それだけ、しんじょーに魅力があるってことじゃない?」
「……そうなの?」
「わー…不機嫌。しょうがないなぁ…ほい。これあげる」
「なに…?あ!これ!」
「そ。しんじょーの好きなメロンパン」
「いやー!あやちゃん最高!ありがとー!」
「どういたしまして?」
女王様の好みは熟知してますとも。
そして、ご機嫌の取り方も。
「しんじょーの為だけに、並んで買って来たんだよ?」
「あやちゃん…マジ、あたし、幸せ…」
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