【完】プライドなんか知らない


「んーー……」

「どしたの?そんな難しい顔して…?」


まさか、それはキミのせいです、なんて口が裂けても言えず。


「あやちゃんが、色々待たせるから、お腹空いたんだもん」


なんてどうでいい理由を付けてムクれてみせた。


…本当は、胸がいっぱいで、それどころじゃないのに。


「えー…?オレのせいなの?」

「そう!あやちゃんのせい。だから、責任取って!」

「仕方ないなぁ…。でも、今何もないし。これからまだ授業あるしねぇ…んーじゃあ、コレあげる」




シャカシャカ




目の前に出されたのは、ミント味のするタブレットが入ったケース。


「…なんで、コレ?」

「オレの代わり?」

「……は?」

「うそ。しんじょーにはこっちかな?ほい」



ぎゅ。



大きな手が、あたしの手を包むようにして触れたと思ったら、次の瞬間あたしの手のひらには、小さなイチゴのイラストの包み紙がちょこんと乗っかっていて。


「しんじょー、コレ好きでしょ?だから、あげるよ」


なんて微笑まれた。


……ていうか。

この人やっぱりモテランキングNo.1……だから。

天然たらし…ですか?


そんな顔されたら、女の子たちは多分、倒れるじゃなかろうか?

そう思うのに、あたしは何故か倒れない。

それどころか…。


「これじゃ、足らないし」

と、膨れてみせた。

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