【完】プライドなんか知らない
気付いたら行きも帰りもあやちゃんと一緒。
クラスも一緒、委員会も一緒、休み時間も放課後も。
なにこれ…すっごい、居心地いいんですけど。
それを頭で感じながらも、心がどうしてか、追い付いていかない。
こりゃ、一度、整理しないとダメ、かもしれない。
そう思ってあたしは直ぐに決意を固める。
「あやちゃん!」
「んー?」
「あたし、明日からしばらく一人で行動するから!」
「え、ちょ、しんじょー?」
早口でそれだけ言うと、あたしはあやちゃんを置いて一人駅へと走り出した。
なんかもう。
色々よく分かんないけど。
あたし、ほんとに自分に正直に生きていきたいから…。
「もう!あやちゃんのバカ!」
胸の真ん中辺りがムカムカして、あたしは盛大にあやちゃんへ八つ当たりの言葉を吐いた。
あたしのこと。まどわさないで。
だって……。
「あやちゃん、好きな人がいるんでしょう?」
なんとなく、涙が出そうになるのを堪えて、全速力で駅へと向かい、荒い息を丁度滑り込んできた電車に乗り込むことで整える。
ほんと、かき乱さないで。
あたしを、振り回さないで。
じゃないと。
これ以上されたら…。
「好き、になっちゃうよ…」
整えきれない呼吸の中で、ぽつりと呟いた。