【完】プライドなんか知らない
つれないあの子  Side:綾人


なんだか、よく分からないけど。


『一人で行動する』宣言を受けてから一週間。



なんか、避けられてる?


理由をあれこれ考えるも…。

当てはまるものは何もなくて。

小首を傾げたまま、パキンっとタブレットを奥歯で砕いた。

口に広がる、ほのかに苦いミント味。

まるで、それはオレの気持ちのよう。


今もオレの存在から逃れるみたいに、クラスの女子と話してるけど。



チラ。


チラリ。



なんとなく感じる新條の視線。

何か言いたいことがあるんだったら、そんな風にしてないで、オレに直接ちゃんと言ってくれればいいのに。



チラ。


チラリ。



そんなことされちゃうとさ、オレ勘違いしちゃうよ?

オレの方を向いてくれるのかなって、思っちゃうよ?



でも、オレは分かっているから。

新條は人に何かを押し付けられるのが大嫌い。

そして、しつこいのも女々しいのも大嫌い。
 
 
だから、ね?
 
 
「ふぅ…」
 
オレは溜息を吐きつつ、頬杖をついて窓の外を眺めた。

新條の視線をなるべく気にしないように、平静を装って…。
 
 
< 13 / 29 >

この作品をシェア

pagetop