【完】プライドなんか知らない


「しんじょー?座ったら?」

「うん…」


静かな時間が過ぎていく。

遠くの方で、微かに体育の授業をしているのが聞こえてくるだけ。


あたしはドキドキする胸を押さえて、窓の外を眺めているあやちゃんを見てた。


「…そんなに見られるとさ、穴が開くかも」

「え?あ…ごめん」

「いいよ?しんじょーだったら、許してあげられる」

「…あやちゃんて、ほんとに不思議…」

「なんで?」

「だって…」

「かわいいしんじょーが悪いんだよ」

「あたしのせい?なんでよ?」

「だって、しんじょー。今、すっごいかわいい顔してる」




カァーと頬に血が昇っていくのがよく分かる。

なんだってこの人は、余裕綽々なんだか。

必死なのはあたしだけだと思うとやってられない。


「んもー。今日の帰りは、あやちゃんのおごりでパンケーキね!」

「はいはい」


いつの通りの会話が出来て嬉しい反面。

この焦りの正体はなんなんだろうかと自問自答。


必死なあたしに余裕なあやちゃん。


だったら、あたしも平静を装わなければならない。


……嫌われないように。


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