【完】プライドなんか知らない
次の日。
あやちゃんとどんな顔をして逢おうか悩んでいると。
しゃららん
LINEで指定してる音が鳴った。
『ごめんね、しんじょー先に行ってて?すぐに追いつくから』
その文面だけで、いつもの”ヤボ用”ってやつだと分かる。
ここの所影を潜めていたんだけど、やっぱりモテランキングNo.1のあやちゃんはどの学年からも人気者で。
「あ"ー…人の居ない所で勝手に告られてんな!」
うなるように一言吐いて、あたしは足音荒く、学校へと向かった。
「新條さん!」
はぁ…こっちもか…。
昇降口で靴を半ば強引に履き替えていると、後ろから肩を叩かれる。
だから、気安く触るなって。
「今日、放課後、空いてる?」
「は?そんなの空いてるわ…」
「けないでしょ。折角の二人の時間、邪魔しないでくんない?悪いけど」
「…ちっ」
「舌打ちしたって怖くないよ。とりあえず、ぶっ飛ばされる前にそこどいてくれる?オレ、今イライラMAXなのよ」
「えっ?ちょ、ちょっと、あやちゃん?!」
ぐいぐいと手を握られて私の方はパニックMAX。
一体どうなってんの?
なんであやちゃんはこんなに怒ってんの?
本当にイミが分かんない。
ていうか、ドキドキ止まれ!
「あ、あやちゃん?」
「しんじょー。ダメだよ。あんなヤツ相手にしてたら」
「べ、別に相手なんかしてないし…」
「じゃあ、なんで、いつもみたいにオレが追いつくスピードで歩いててくれなかったの?」
「それは、…あやちゃんが…」
「…オレの、せいなの?」
なんか、かなり危険な感じ。
雲行きが怪しい。
このままだと。
このままだとあたし…っ!
「~~~っ!全部、あやちゃんのせい!」
だっ
叫ぶだけ叫んで、あやちゃんを置いて一人教室へと走り込んだ。
もう少しで、「好き」と言ってしまう所だった。
でも、あやちゃんの「好きな子」が分からないままじゃ、この気持ちは絶対に打ち明けられない。
「もう、なんなの…この気持ち…」
ぎゅうっと制服の胸の所を掴んで、あたしは泣きそうになるのを必死で堪えた。