【完】プライドなんか知らない
「ねぇ?今回の子はどんな感じだった?」
「しんじょー…ほっぺにクリーム付いてる」
「え?どこ?」
「ここ」
「ん。ありがと。…で?あやちゃん、どんな子?」
ほんとに、どうしてこうも、キラキラした瞳で見つめて来て、オレ以外に興味を持つんだろうね?
「…しんじょー以下の子…」
「は?」
「言葉通り。以上」
そんな会話は断ち切りたくて、サクッとそう言って、温くなった苦いコーヒーを流し込んだ。
なんなんだかねぇ?
「……あやちゃん、なんか怒ってる?」
「んー?別に?」
「……ふーん」
そう言いながらも、チラチラとオレを見て来る新條は凄く可愛くて。
あー…。
抱きしめたいなぁ…。
そんなことを思っていたら、いきなり手を繋がれた。
「……どしたの?」
「や、こうしたらあやちゃん機嫌直るかと思って?」
……この子。
天然小悪魔だったの忘れてた…。
赤くなりそうな顔を気合いで引き締めて、オレは普通を装って「ありがと」とだけ返した。