【完】プライドなんか知らない
気になるあの子 Side:朱莉
気になる。
気になる。
気になるあの子。
その人は、今日も華麗な手付きで会議資料であるプリントをさばいてる。
「……なぁに?」
「んーん。なんでもない」
のんびりした口調で、いつも話すから穏和な人だと専らの評判だけど。
私は実はほとんどのことに興味がなくて、怒らすと怖いってことを知っていたりする。
「しんじょー?手、止まってる…」
「ん、あ…ごめん。てかさー。これ、かったるいよねー」
ぺちん、とプリントの1枚目を指で弾くと、
「……しんじょー」
「んー?」
「これ、オレがやってあげる。休んでていいよ?」
「ん。ありがと」
何故かは分からないけど。
あやちゃんは同じ委員会で、一緒に行動するようになってから、何かと私の周りのことをしてくれる。
それは、もう…甲斐甲斐しく。
「しんじょー?」
「ん?」
「そんなにたるいの?」
「んー。プリントの整理は嫌い。でも、あやちゃんと一緒ならいっかなー?」
「…そ」
簡単なやり取り。
この人、ほんとにモテランキングNo.1なの?
そんな疑問も浮かぶけど。
やっぱり…。
「しょうがないなぁ…。帰り、パフェでも食べる?」
「えっ!いいの?わーい!あ、それあやちゃんのおごりね!言い出しっぺなんだから!」
「はいはい。んじゃ、プリントもまとめたし、行こっか?」
「ん。楽しみだなぁ」
あやちゃんは優しい。
だから、凄く気になるの…。
でも、それがなんでだかはまだよく分からない。
てか、見当も付かない。
「しーんじょ。置いてくよー?」
「あ!待ってってば!」