初恋物語
02
***

話はさかのぼる。

その日はこの時期にしては暑かった。
10月とは思えないほど太陽が仕事をしている。
前日、本を読んでいたらいつの間にか朝になってしまっていた。いわゆる"徹夜"というものをしていたのだ。そんな日にこれはホントにきつい

…空を仰げば、雲ひとつない澄み切った空がある。
そこで昨日の本のラストに思いをはせていると、

「優海!危ない!よけて!!」

声が聞こえるじゃないか。
なんだろうと思ってまた空を仰げば、さっきはなかった丸い物……ボールが降ってきていた。

わ!しまった!

そう思っても遅く、見事に顔面でボールを受け止めていた。
……しかも鼻血ブシャーである。
その勢いのまま後ろに倒れる。周りがざわざわしてる。

「大丈夫?」
「これって、先生呼んで保健室?」

いろいろな疑問が飛び交う。
寝不足だからちょうどいい。このまま寝てしまおう。

「大丈夫大丈夫。でも、ちょっと保健室行ってくる。」

そういって立つと、みんなに背中を向け、昇降口を目指して歩いた。
背中に「不安」な視線が集まってる気がするけど、無視、無視。
昇降口まで来たところで、少しぐらぐらしてきた。

あぁ、やばいかも。

そう思った瞬間、廊下に倒れてしまった。意識がもうろうとする中、

「やっぱり倒れてる。無理はだめって言ったのに。」

……誰?誰かに抱かれ、ゆらゆら揺れながら動いていく。
なぜだろう。すごく安心する。
――そして私は眠りについた。
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