ラストボール。〜君がくれた奇跡〜

すると、監督は、落ち着いた様子で私を見ていた。まるで、質問されることを分かっていたように…
「心春ちゃんも知っておかなきゃいけないことだな…」

そして、重々しい口が開いて私に言った

「星也はな…ご両親が5歳の時に相次いで病気で亡くなった。その時に、誰が星也を引き取るかってなった時に…親戚は…
『こんな車椅子の子、私には育てるのが無理だよ』
『厄介者は家庭に持ち込みたくないね』
と言われ、誰も引き取ろうとしなかった。星也も星也で、そのように言われて傷つき誰にも心を開こうとはしなかった…」

「そんなことが…」

今の星也くんからは想像出来ない…そんな辛いことを経験していたなんて…

「そこで、そのことを聞いた俺は、星也をある場所に連れて行った」
< 34 / 81 >

この作品をシェア

pagetop