ラストボール。〜君がくれた奇跡〜

その質問は1番聞かれたくなかった…この瞬間まで聞かないでほしいと何度も願った…この質問だけは…

「…」

「俺、知りたいんだよ…あと、どのくらい生きられるのか…教えてほしい…」

「それは…」

「残された時間があとわずかだってことは、分かってる。心のどこかで分かってたんだ。『俺の体は限界が迫ってる』って。だからこそ、無駄にしたくないんだ…!心春と…残された時間を過ごしたい…だから、教えてくれ…」

「…お医者さんは…あと…2週間って…」

私は、涙ぐみながらそう告げた。私は、受け入れるしかなかった…星也くんの覚悟を知ってしまったから…

「教えてくれてありがとな、心春。それだけで充分だ。あ、喉乾いたな…下でコーラ買って来てくれないか?」

「うん…」

そう言って、部屋を出ると…ドアの向こうから誰にも聞こえないような泣き声が聞こえた。
私は、しばらくその場を動くことが出来なかった…
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