気まぐれな君は
気まぐれな君を知る
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「真白くん! またにゃんこ増えたー! ていうかおはよう!」
「おはよ、ってえっそれ連絡してよ」
「増えたの今日の朝だから学校来てから直接でいいやと思って!」
「そういうとこ都築さんってあまり連絡しないよね」
だって会えるときは直接の方がいいじゃんか。顔見て話すのって大事なんだぞ。
「ていうか今日の朝ってどういうこと?」
「出勤途中のお姉ちゃんが茂みから救出」
「端的な答えありがとう! なにそれ信じられない!」
「ほんとだよね! 殺す気か!」
「ちょっと二人とも落ち着いたら?」
二人して朝から盛り上がっていると、近づいてきた茉莉に声をかけられて二人揃って黙り込んだ。
ゴールデンウィークも終わり、だんだん日も伸びてきて暖かくなってきた、というより暑くなってきた今日この頃。暑くなるに伴い捨て猫も増えてきて、現在家に保護されている子猫は十匹を超えていた。
真白くんとは、うちで保護している猫たちをきっかけにしてものすごい勢いで話すようになった。爆発的に仲良くなった、と言っていたのは若葉だ。そして私と真白くんが話すようになると、私は柳くん、真白くんは若葉や茉莉、絵里たちと話す機会が増えていった。ちょっと多いが、意外と六人で仲良くなっている。
それでも、私たちの中で真白くんを真白と呼ぶのは私と柳くんだけで、他の三人は白川くん呼び。それを聞くと、時々真白くんがよく分からなくなる。
どうして私なのか。隣の席だったから、というわけじゃなかったとは言えないけど、それだけとも言えない。現に後ろの席の女の子と真白くんはそんなに仲良くない、というか話すところをほとんど見ない。男子でもなんだか対応の差が目立つし。
この一ヶ月程真白くんを観察していてわかったのは、真白くんが結構な気まぐれだということだ。
「……で、今日は何匹?」
「生きてるのは、二匹。……見つけた時点で、二匹は……」
「……そっか。落ち着いたら、また写真送っておいて。回しておくから」
「うん、お願いします」
一気に静まり返った私たちに、茉莉が私の背中とたんたんと二回叩いた。慰められている、と分かる。私たちが仲良くなり始めた時期に、茉莉と絵里、柳くんにも私のうちの事情は話をしている。若葉は元々知っていた。