気まぐれな君は
それが、秋生まれの子猫たちを示していることはすぐに分かった。私が探していたのもその子たちの写真なので、すぐに見つかった写真を開いて真白くんにスマホを手渡すと、五匹ね、と端的に答えを返す。
五匹は少ない方だ。それに、正直なところ秋生まれの子猫たちは長く生きられない子が多い。暫く家で預かりながら様子を見て、大丈夫そうなら里子に出す予定だった。
「へえ、三毛猫ちゃんがいるのか」
「嗚呼、そうそう。あんまり見ないけどね、この辺り。白黒ぶち柄が多いから」
「確かにそうかも。あ、こっちのは黒トラ」
「うん。あとの三匹は白黒ぶちだよ」
白黒ぶちが三兄弟、他の二匹はそれぞれ別の場所で他の子たちと見つかった生き残りだ。
「ホームページにはもう少ししたら載せるよ。これからが撮り時」
「嗚呼、様子見期間?」
「そうそう。やっぱり秋生まれの子は、どうしても」
春生まれの子は夏に向かうから、温かくて育ちやすい。秋生まれの子は冬に向かうため、体温調整が上手くいかずに寒さから体力を奪われて死んでしまう子が多いのだ。
かといって、春生まれの子も夏に近いと暑すぎてしまうので、世の中は世知辛いものとなっている。けれど、ノラ猫の世界ではそれが当たり前だ。
捨て猫もいるし、ノラ猫の子猫だっている。捨てられた子たちは子猫たちだけ保護するが、ノラ猫の場合は可能なら親猫も保護するようにしている。中々親猫は警戒心が強いので、子猫すらも保護することは難しいけれど。
「この子たちは大丈夫そうなんだ?」
「うん、結構元気だよ。やんちゃして怒られてる」
「ふっ! まあ元気なのは何よりだね」
「そうだけど、毎日かくれんぼはちょっと勘弁してもらいたいところもあるかな?」
家中の隙間という隙間を探し入り込むので、探すのが大変なのである。そして家中をちょこまかしているので、踏みそうになって何度か肝が冷えた。
「……まあ確かにそれはちょっと困るかもしれない」
「でしょう?」
それを言うと、真白くんの同意がもらえた。得意げに返すと、また吹き出される。もう、と思いながらも私もつられて笑った。思ったより大きい声が出て、慌てて口を塞ぐ。
それにしても、思ったよりも元気そうでよかった、なんて。
そんな私に更に笑い始めた真白くんを見ながら、安心して出てきた涙を気づかれないように拭った。