気まぐれな君は
***
翌日。
前日の宣言通り、ホームルームの時間に自己紹介が行われることになった。
こういう時トップバッターにされる出席番号一番って可哀想だな、と思いながら、みんなの自己紹介を聞いていく。
名前、呼び方、出身中学校、部活、趣味その他各々言いたいことを言っていく、といった感じ。茉莉が終わって一人挟み、真白くんが前に立つと私はその顔をそっと見上げた。
ちょっと冷たいというか、そっけない感じで前に立った真白くんが、私と視線が合うと小さく笑ったのが分かった。
なんでそこで私を見て笑ったの。
「白川真空、東中出身です。小中って真白って呼ばれてたのでよかったら真白って呼んでください! 運動はできないので部活は天文部とか、あと写真部! とか気になってます! あっあと昨日の朝はすみませんでした! 以上です!」
昨日の朝、嗚呼入ってきたとこのこと。
思い出した人が何人かいたらしく、男子中心にくすくすと笑う声がする。視界の端に入った冬馬くんが静かに爆笑していて、なんだかよく分からない人だなあと思った。
面倒見いいかと思えば爆笑してたり。悪い人ではないんだろうけど。
「あ、真白」
「……あっ、忘れてた!」
と。考えていれば、冬馬くんが真白くんに何か声をかけた。
何か思い出した様子の真白くんが、席に着こうとしてまた教壇の前に戻る。拍手をしていたクラスメイトたちの手が止まって、真白くんに注目するのが雰囲気で分かった。
「体育あるし、なんかレク的なのもあるって言ってたからすぐわかると思うんだけど、俺、運動できないって言うより運動禁止なんだ! 走ったりもしちゃダメって言われてるから、そこんとこよろしくー!」
「って相変わらず軽いなお前。とりあえず真白は超虚弱体質だって思っててくれればいいから。何かあったらすぐ先生呼ぶとか俺呼ぶとかしてくれると助かる」
「ってことなので! ちなみにその冬馬くんは俺の幼馴染でおかんです! どうぞよろしく!」
「いやお前が言うな」
最後の二人の掛け合いで、固まったクラスの雰囲気がふと緩むのが分かった。ぱちぱち、と目を瞬かせて、私は真白くんを見る。