たまゆらのはな
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「…っはぁ…はぁ、けっこう下り坂急だし歩きにくいし、大変だったな」
1時間くらい歩いた気がする
道が全く整備されてなくてなんとか音などを頼りにして降りてきた
それにしても
…なんでみんな着物なの?
あれれ私京都に旅行にでも来てたのかな?
いやいや、そんなわけ
んー…と違和感を感じながらも街中を進む
途中橋に差し掛かりパッと下を見てみると、
「わぁ…船だ…!」
小さな小舟を船頭が漕いで荷運びをしている
「なんだい、お嬢さん
船が珍しいんかい?あんたどこの人なんで?」
バッと後ろを振り返ると初老の男の人がいた
「驚かせたかいすまんねぇ…
いやぁ船がそんなに珍しいかと思うとこっちが気になってねえ」
こんな状況に置かれて初めて人と話せた!
ちょっと嬉しいな!
「あ…、いえいえ
今時小舟輸送ってのも珍しくて
ほら、トラックとかで運ばないのかなーなんて…」
ポカンとした顔で不思議そうに私をみる
なんかまずったかしら
「え、…と、あ!そうそう!おじいさんこの辺で交番どこにあるか知りませんか?」
「…こうばん?
なんやらとらっくやら奇天烈なこと言いますなぁ…」
おじいさんは怪しんで行ってしまった
「あ、ちょ!まって…
はぁ…」
橋の木製の柵に肘をつき、ため息をつく