秀才委員長と俺



「ゆ、油良?大丈夫か?」


担任が油良の顔を覗き込むように屈んで声をかける。

油良は自分の席に倒れるように座って、小さく「大丈夫です……」と呟いて、机に項垂れた。


学校まで駅から猛ダッシュしてきたんだろうな……と、人目でわかった。


さすがの担任でさえも、何も言わずにHRを続行した。


油良が遅刻するなんて初めてだ。


なんかあったんかな……?





***







昼休み。


10分休憩中、油良はずっと机に伏せて仮眠をとっていた。


何があったか聞こうとしたけど、かなり寝不足みたいだから、放っておいた。


もう昼休みだし、いつもの空き教室で聞こう。


そう思って立ち上がると、隣の暮らすの笑華(えみか)が声をかけてきた。


「凌空どうせまたパンでしょ?さっき家庭科でお弁当作ったから、食べてよ」


はい、って二段弁当を渡される。


一瞬迷ったけど、昨日油良にパンばっかはダメだって言われたし……と思って、それを受け取った。


それが間違いだった。






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