秀才委員長と俺
「油良!待てよ!」
「ついて来ないで!」
誰もいない廊下で追いかけっこする。
あと少しのところで、いつもの空き教室に入って鍵を閉めて、中に閉じ籠ってしまう油良。
……合鍵持ってるから意味ないけど。
ゆっくり鍵を鍵穴に差し込んで、鍵を開ける。
中にはいると、教室の隅で三角座りして顔を腕に埋める油良。
彼女の前にしゃがみこんで、ゆっくり抱き締める。
でも抵抗されて、バランスを崩して尻餅をついてしまった。
「……ごめん、油良」
「………どっか行ってよ」
震える声が聞こえて、再度油良を抱き締めてみる。
また抵抗されたけど、今度は凌腕を掴むことができたから、片手で両手を拘束した。
顎を持ち上げて、顔を見る。
……見てるこっちまで泣きそうになるくらい、涙でグシャグシャだった。