愛してるまでの距離
キャンプの班を決めるホームルームが終わり、下校時間になった。
「由波さん、帰りましょう」
当たり前のように毎日私の元にくる翠。
こんなことまでしなくていいのにって何回も思ったけど、何言っても翠は引かないし、思うだけ無駄なことはわかってる。
「あ、由波さん、今日由里子さんが会社に来るようにって」
由里子さんとは私の母
私に直接伝えたらいい要件を翠を通して伝えるのには訳がある。
「分かった。翠も行くの?」
「はい、俺も一緒にって言われました」
「そっか」
翠と私を会社に呼び出すなんて嫌な予感しかしない。
きっとまた変な企みをしてるに違いない。