twinkle
放課後(プロローグ)
今隣を歩いているのは、柊風音(ひいらぎかざね)。
三ヵ月前から付き合っている俺の彼女だ。
風音とは、高校に入り同じ部活になって知り合った。
入部したばかりの頃は俺も風音も尖っていて
ちょっとした言い合いがもとになりケンカばかりの毎日。
ついには手まで出るようなことになったりもした。
…おれが思いっきり叩かれたわけだけど。
まさか女の子に叩かれるとは思ってもみなかったなぁ。
だけど、その後ボロボロ泣き出した風音をみて、
自分が言ったことの重大さと器の小ささに気付いた。
風音も直ぐ手が出るくせを克服しようと頑張ったらしく、
その一件以来、ケンカすることはなくなった。

半年くらい経って風音から告白してきたわけだけど、
俺はその時、はっきり言って意味がわからなかった。
告白される二ヶ月前くらいまで、恋愛相談されたりしていたからだ。
当時、風音はキャプテンのことが好きだった。
どうしたら振り向いてもらえるか、遊びに誘う時はどんな誘い方をすればいいのかなど、いつも俺に聞いてきた。
まぁ、俺は彼女いたことなかったしロクなアドバイスも
できなかったわけだけど、風音が楽しそうにその人の話をするのを聞くのは聞いていて飽きなかった。
今思えば、風音が話していたからなんだろうけれど。
だから、偶然二人きりになったときに、風音が
「…もし、付き合って、って言ったら、どうする?」
なんてほのかに赤い顔で言ってきた時には本当に驚いた。

必死に平常心を装いながら
「今いきなり言われても…、考えとく」
とかカッコつけた返事をしたな。

思い出すと今でも少し恥ずかしい。



それから10日くらい経って、OKの返事をした。
偶然にもその日は風音の誕生日だったらしく、
電話の向こうで泣いて喜んでいた。
直接言うべきだったと少し後悔している。
泣いて喜んでいるところを見たかった。

と、まぁ、本人には(誰にも)言わないし、
いつも素っ気ない態度を取ってしまいがちだが、
風音のことはちゃんと見ているし好きだ。

誰にもバレないように、と言ってあるため、
常々寂しい思いをさせてしまっているけれど、
何も言ってこないし、環境がこれだから仕方がない。
その分、二人きりの時は甘えるし甘えてもらっている。
俺達の関係としてはそれがベストだ。

つまりは素直になれない者同士のカップルということだ。
なぜまわりに言えないで居るかはまたそのうち話すことに
しよう。








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