秘密の陰陽師 【参】



「そうか…なぁ、お前名前は?」




溜まった涙はやがてあふれ出し、葵の手を必死に握る小さな狐にそう聞いた




「霜月…と申します。
葵は俺の…狐軍の命の恩人なんです」




そういうと、霜月は俺の顔をまっすぐと見る



「どうか…我々を救ってくれた姫をいつまでも手放さないでください。いつまでも守ってあげてください…」




そう訴える目はどこか儚げで。



葵が自分たちの妖界から離れていくことを惜しんでいるようだ…




「当たり前だろ?
葵のことは俺が…何があっても命に代えて守り抜くよ」




俺はそう言って涙を流す霜月の頭を撫でた




安心したような表情を見せた霜月は一礼して狐軍の仲間の元へと向かって行った。






俺はスヤスヤと眠る葵の頭を撫でる









お前は…第2妖界を救ったんだよ




お前のその心が…人の心を変えたんだ




早く目覚めてくれよ…




そう思っていると後ろに人の気配を感じた




振り返るとそこには璃玖と柊が立っていた




「葵には感謝しても仕切れないよ…
色々無理させてしまった。
お前の大切な人をこんなに傷つけてしまって悪かった」




悲しい顔をした璃玖がそう言った




「いや、俺こそ何も知らないで勝手なこと言って悪かったよ」




「俺…葵のことがいつのまにか好きになってた。

葵がここに残るって言ってくれた時、俺の事を少しでも好きになってくれたと思った。

でも葵がお前を見る目がは他の人が入る隙もないぐらい、優しくて、暖かくて、そして愛している目だった。」




璃玖は少し苦笑いをした





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