ドクターと恋を始めました。【完】
「愁さんって嫉妬深いの?」
「仕事してる時もずっと『早く家に帰りたい、当直交代しろ。』って連呼してる。」
クールな愁さんの弱点は琴音ちゃんか。
そりゃ、そうか。
あの子を見てると本当に疲れなんて吹っ飛んで抱きしめたくなる。
それに病弱だと尚更に、
彼氏が医者なら治してやりたい、守ってやりたい、と思えてくる。
「俺は心の底からあいつは本当に琴音ちゃんに出会えて良かったと思うよ。
あいつが恋してる姿みてたら俺としては面白いし微笑ましく思えるよ。
そして、琴音ちゃんもようやく自分を愛してくれる存在を見つけてあの子自身もあいつのことが大好きで仕方ない。」
兄貴の話を聞いていると『悔しい』という感情が出てきたけど俺はどうせ叶わない恋。
互いにお互いを思いやっていれば俺の入る隙なんてない。
「ま、理於の気持ち結構分かるよ。愁って本当にずるいんだよな。いつもいいとこ取りしやがってさ。
でも文句は言えない。
あいつ自身ずっと努力しているから譲りたくなるんだよな。」
愁さんは生まれた時から人生が決められているようなものだったと聞いた。
親が国内でも有名な病院の院長。
生まれた瞬間から医者になることは決まっていたらしい。