ドクターと恋を始めました。【完】



兄貴と愁さんが出会った時は、愁さんは本当に今時のことを何も知らなくてカラオケも知らなかったらしい。


毎日が勉強ばかりだったらしい。




「あいつさ、昔は色々とグレてた時代もあったけどさ、やっぱどこかに憧れる要素があっていつも目標にしてきた。

それにあいつがあんなに女に対して一途になることなんてなかった。

ははっ、まじで琴音ちゃんの存在は愁にとっては大きすぎたよ。」




兄貴の目は本当に
『良かった』という目をしていた。




「愁ってさ、いつも自分を犠牲にしてきた人生だから幸せになってほしいんだよ。

俺だってあいつに借りたくさんあるし。

誰よりも幸せになってほしい。」




今の兄貴の顔は愁さんの腐れ縁として、親友としての顔だった。




「…何で、兄貴はそんなに愁さんの幸せを願ってるの?」


「あいつ昔はヤンチャだった癖に今となっては真面目すぎるから、…医者って立場上そんなに休みも取れないし自由な時間なんて本当に滅多にない。

そんな中、俺さ彼女との特別な日にさ急に当直になったんだよな。

でも、それを知ってた愁は体調の悪い中当直を連続で代わってくれた。


…とりあえず、あいつには返しきれないほどの借りがあるんだよ!」



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