ドクターと恋を始めました。【完】


ーー…




初めて喘息発作が出たのは3歳の時だった。


とても苦しくて息ができなくて怖かった。

怖くて泣くしかできなくて辛くて何が何だかもうわからなくて、ただひたすらに泣いていた記憶がある。




『琴音、辛いのは分かってるから深呼吸しよっか。大丈夫…、あっ、良かった丁度帰ってきてくれて。和彦さん、琴音が今喘息発作でてて……、』


『琴音大丈夫だ。…深呼吸しなさい。美佐、病院に連れて行くから用意してくれ。』




この時、お父さんもお母さんも手を握っていてくれた。

泣いて怖がるあたしを抱きしめてくれた。


何度も『大丈夫だよ。』と言いながら。




…ーー



「落ち着いてきたな。琴音横になって寝ていろ。薬とってくるから。」




そう言って立ち上がりあたしの薬を取りに行ってくれた。


あたしはこれから先、何度愁さんに迷惑をかけないといけないのだろう。



きっと、そのうち飽きられるんだ。



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