ドクターと恋を始めました。【完】



1週間前、あたしは生まれ育った家を出て、

高校から徒歩10分圏内のマンションに引っ越して来た。



その理由は、父親の再婚。



5歳の時にお母さんと買い物に向かう車の中で、飲酒運転の車があたし達の目の前に突っ込んで来た。


お母さんは血を流して、目を開けることなくこの世を去った。


あたしは、頭を強く打ち一時的に記憶喪失になっていたらしいが、すぐに記憶が元に戻り暴れたとお父さんから聞いた。




「琴、本当に大丈夫?顔色悪いよ?」


「大丈夫!多分引っ越しの作業で少し疲れてるだけだと思うから。」




もう、思い出したくない…、


そう思う度に、
何度もあの日がフラッシュバックされる。




「こっちゃん、無理してない?」


「本当に大丈夫だってば!」



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