ドクターと恋を始めました。【完】
「真城先生から聞いた話によると、
琴音は幼い頃からずっと、父親や親戚から酷い言葉を浴びせられ孤独に過ごしてきたらしい。」
「…それ、俺なら耐えられねー。」
俺だって絶対に耐えられない。
でも、琴音は1人で全てを背負ってきた。
「俺は、琴音を救ってやりたい。」
「…ふーん、それは医者としての本望なの?
それとも、1人の男としての本望?」
「両方だ。医者からしてみればUAP(不安定狭心症)もPTSDも治してやりたい。
…辛い過去から抜け出してほしい。」
でも、多分俺の気持ちとしたらそれだけじゃないことぐらいわかっている。
…本当は気づいている。
「…んで、愁の男としての本望は?」
「琴音を見ていると、これ以上、琴音に辛い思いはさせたくない、俺も半分過去の荷を背負ってやりたい…、そう思える。」
「でも、愁のその感情は聞いてる限り同情にすぎないよ?」
同情?
そんなんじゃない。
俺の気持ちは、、、、
気づいている…、
けど、俺と琴音は医者と患者の関係。
だけど、“琴音を愛してやる” と言った瞬間から俺と琴音は、ただの医者と患者の関係ではなくなっている。
「…俺は、琴音に会った瞬間から、
───────── 恋に落ちていたよ。」