ドクターと恋を始めました。【完】
「そういえばさ、兄貴とこっちゃんって、知り合いだったの?」
「…ううん、知らない。」
でも、あの人はあたしのことを知っていた。
そして、あたしの病気のことも。
…普通に考えると、海堂総合病院の関係者。
「凪ちゃんっ!あのさ…、」
でも、ここで凪ちゃんにあの人の職業を聞くと怪しまれる、やっぱり聞くのはやめよう。
「…ごめん、やっぱり何もない。」
「そ?ならいいけど。」
ななちゃんと凪ちゃんは、あたしが心から信頼した大切な友達だから…、
ごめんね、こんなあたしと関わってくれて。
隠し事ばかりしてるのに。
「あ、1限目から体育じゃんか。」
「えー、着替えるのめんどくさいのに〜。」
ななちゃんも凪ちゃんも文句を言いながら着替え始めた。
「…琴、着替えないの?」
「え…、あ、着替える!」
今日、体調が優れるか優れないかで言えば、
多分優れないのだろう。
昨日、病名を告げられたけど、確かに前々から胸が苦しく感じることもあった。