ドクターと恋を始めました。【完】
ーー…
「こっちゃんね?今日の晩ご飯はオムライスがいいの!」
「えぇ〜?琴音昨日食べたじゃないの。」
懐かしい記憶。
この声って、小さい頃のあたしとお母さん。
今では聞けないお母さんの優しい声。
「だって、お母さんの作ったオムライスは美味しいんだもん!」
「琴音はオムライスが本当に好きね。他に食べたいものはないの?」
「んーとね!ハンバーグ!」
あたし、こんなに単純だったんだ。
ハンバーグ如きで喜んで、今では本当に有り得ない話なんだけど。
「じゃあ、お母さんと一緒に買い物に付き合ってくれるかな?」
「はーい!」
そっか、あたしのせいで買い物なんて行くことになったんだ。
ハンバーグで喜んでなかったら材料も買いに行く必要もなかったのに。