ドクターと恋を始めました。【完】
胸がドキドキする中、
家のインターホンを鳴らした。
『は〜い、どなた?』
「琴音です。」
『あぁ…、どうぞ。』
あたしが来たことによって声が一気に低くなったことがわかる。
お義母さんにとって邪魔な存在でしかない。
そんなことはわかってるけど…。
家に入ると前もあまり変わらない姿。
もちろん出迎えもない。
あたしが、お父さんの書斎に出向く。
((コンコン))とノックした。
「入れ」
恐る恐る部屋を開けた。
本当に緊張しかしない。
「病院の方から狭心症で入院させたと電話がきたが事実なのか?」
「事実です。」
「…正直言えば、僕は美佐が残したものは全て消したい。」
あたしのことも、だよね。
お母さんが残してくれた命だから。
「この病気になってからあたしは自然に死期を待とうと思ってました。」
「…で?」
「あの頃のあたしは死ぬことに何の恐怖もなくて多分、お父さんがあたしに『消えてくれ』と言えばあたしは死んでいた。」
「…」